Interview
公立丹南病院
福井県鯖江市
病床数 : 179
スマートな設計と直感的な操作性に感銘を受け、すぐにデモを依頼し、本格導入となりました。
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01導入のきっかけ
看護の人材不足や超過勤務時間の増加などの課題に対応するため、看護提供体制を「セル看護提供方式🄬」へ移行しました。これは、看護師一人ひとりが自律的に動ける環境を整え、チームで協力しながら効率的にケアを提供するものです。セル看護提供方式🄬では、業務の中に潜む「3つのムダ(動線のムダ・記録のムダ・配置のムダ)」を見つけてカイゼンを繰り返していくことが重要であり、この中でも「記録のムダ」を減らすために、私たちは次世代型の看護記録システム「チームコンパス」に着目しました。 日本看護管理学会やセル看護推進研究会でその存在を知り、YouTubeで公開されている『あしたのカルテ』という紹介動画を視聴しました。疾患名からパスを展開すると、標準化された観察項目で新人からベテランまで同じ条件で看護過程の展開が可能です。セル看護提供方式🄬への移行にあたり、知識の補完となるツールが必要と考えていたため、そのスマートな設計と直感的な操作性に感銘を受け、すぐにデモを依頼し、本格導入となりました。
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02導入による変化
チームコンパスの導入による変化は2点あります。 まず1点目は、記録業務の効率化が進み、看護師が本来のケアに集中できる時間が増え、同時に超過勤務時間も漸減していることです。いわゆる“思い出し記録”が圧倒的に減りました。スタッフ一人一人の逐次入力率がデータとして出力できるため、スタッフ指導にも活用できます。また、管理職層からも患者さんのコンパス画面を開いただけで、その患者さんが今どのような状態なのかが一目瞭然でわかりやすいとの声も聞かれています。 そして、もう一つ大きな変化として、新卒新人の夜勤導入時期が格段に早くなったことです。具体的には以前に比べ3カ月は早まっています。これは、チームコンパスによる標準化・効率化されたシステムが奏功していると考えます。 働きやすさと看護の質の向上を両立するための一歩として、私たちはこれからも現場の声を大切にしながら、より良い環境づくりに取り組んでいきます。
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03導入を検討している病院に向けて
チームコンパスは、あらゆる電子カルテメーカーに対応が可能です。また、搭載されているコンテンツを自施設のオリジナルに変換できるカスタマイズ性に優れているのも特徴です。現在はイノシアの看護師チームの方との定期的なオンラインミーティングを重ね、使いやすさを追求できます。困っている点についても、他施設での状況などをふまえいろいろと提案をくださるので解決につながりやすいです。 操作方法などの説明会を実施した際には、「うまく使いこなせるのか」「ついていけるのか」など不安の声もありましたが、実装してみるとその不安は一気に解消されました。まずは、YouTubeの「あしたのカルテ」をスタッフに視聴してもらい、イメトレしながらデモを導入してみることをお勧めします。
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導入にあたり大変だったこと
『チームコンパスを導入すれば看護記録に関する業務がスリム化され、超過勤務が削減できる』とどんなにメリットを唱えたとしても、実際のシステム導入には経費が必要となります。データを用いて、費用対効果について粘り強く、幹部経営層に訴え、導入につなげる必要があります。
導入が決まった際には、運用に向けたプロジェクトチームを結成しました。当院の場合は、指名ではなく、手上げ式にメンバーを募りました。リーダーとなる看護師長は、看護記録委員会(兼クリニカルパス委員会)の担当者に依頼し、既存の看護記録ガイダンスの改定も同時におこなってもらいました。各部署の看護記録委員がリンクナース的な役割を果たし、スムーズな運用につながったと感謝しています。
医師については、一人一人への細かな説明は実施しませんでしたが、現在の看護記録の記事がどこを見れば記載されているのかなど文書で案内しました。マイチャート機能などの便利な機能を紹介し、各医師に画面をカスタマイズして閲覧してもらいました。中には、患者の声がそのまま伝わる“叙述記録”が楽しみだったという医師もごく一部おりましたが、必要なことは当然医師にもお伝えしますので、その意見はスルーしております。
チームコンパスの唯一の弱点がコスト算定ができないことです。コスト算定の漏れが発生しないようtry&errorで医事課と調整を重ねました。実装には、他部署との調整は不可欠ですが、細かく調整を重ねることで相互理解が図れ、部門を越えたスムーズな連携につながっていると確信しております。